「先生、今日も麻酔していーよ!」

4人兄弟の長男で小学2年生の男の子。一番下の妹は生まれたばかり。幼稚園生の弟も一緒に通院していました。治療予定歯は2歯。お母さん曰く、「とにかくビビりで治療ができないし、麻酔なんてとんでもない!できないと思います。どうしたら良いでしょう」とのことでした。

STEP 1|弟君が先に麻酔をクリアしてしまった

幼稚園生だった弟君、お兄ちゃんほど怖がることはありませんでした。治療する虫歯は2本。初回は痛みのないクリーニングや器具を説明したり、口に入れるだけ。いわゆる、トレーニングを行いました。

2回目の来院時、前回の診療でここの歯医者が怖くない、この先生もどうやら大丈夫そうだと思ってくれたようで安心して口を大きく開け、椅子にゴロン。麻酔をしないと痛がりそうな虫歯でした。今日は、麻酔が出来そうだと感じました。

表面麻酔を良く塗って、注射の麻酔を痛みの出ないよう細心の注意を払いながら行うと・・・なんと、まったく本人気が付かないうちに麻酔終了。これにはお母さんもビックリ。お兄ちゃん唖然。

STEP 2|弟ができたんだから僕だって

弟ができたんだから僕だって・・・と思ったかどうかは解りませんが、どうやら麻酔は自分が思っていたよりも恐ろしいものではないようだと思ってくれたようです。お母さんも、家で麻酔が出来た弟を褒めていたそうなので、次は自分も・・・と思ったと思います。

弟君も、「僕も麻酔出来たよねえ」「上手だったよねえ」とお兄ちゃんに話かけていました。お兄ちゃんにも、表面麻酔を良く塗りました。もちろん、表面麻酔の味がしないように、ベロにつかないように、唾液はこまめに吸うなど気を付けながら。

そしてここで手鏡登場。お兄ちゃんには手鏡を持ってもらいました。そして本人が見ている状態で痛みのないように注射の麻酔を行いました。

年齢や理解度にもよりますが、全ての麻酔をするお子さんに鏡を見せるわけではありません。この子はそうしたほうが効果的、この子には逆効果。そう言ったことも、お子さんとしっかりコミュニケーションをとっていく中で判断します。タイミングも、その日に判断します。無理強いは逆効果なのでいたしません。麻酔は、痛みの出にくい部位に痛みが出ないように行います。

STEP 3|麻酔の後は、虫歯の除去

麻酔が出来れば、あとはもう大丈夫でした。引き続き鏡を見ながら(お兄ちゃんは見たいと言っていたので)虫歯が取れて綺麗になっていく様を見てもらいました。かみ合わせを確認して完成です。

結果

無事に治療歯1回で終わりました。しかし一番大切なことは、今後虫歯を作らないということです。この後は、歯ブラシチェックやお掃除をしていきました。そして今は定期健診です。

お母さんは、生まれて間もない赤ちゃんを連れて来院していただき、大変だったと思い感謝いたしております。

子供の診療のあと、必ずと言っていいほど付き添いの保護者の方に言う言葉、「本当によく頑張りました!凄いですよ!たっくさん褒めてあげてください!」それを聞いた時のニンマリとした、いわゆるドヤ顔・・・誇らしげな顔を思い出すと、今でもほっこりとした温かい気持ちに包まれます。そしてその後は歯のお掃除なのに、「先生、今日も麻酔していーよ」となりました。

お母様に聞いたお話ですと、その日から歯ブラシに対するモチベーションが明らかに変わったそうで自分で一生懸命磨くようになったそうです。真っ黒い虫歯が治って白くピカピカになった歯をまた虫歯にしてはいけないと思ってくれたとしたら・・・、他の歯があのような真っ黒い虫歯になってはいけないと感じてくれたのであれば、こんなに嬉しいことはありません。

治療ができたことは本当に素晴らしい。そしてこの先彼らが大人になっても治療する虫歯がなく、健康な口腔内を維持してもらえることが何よりも素晴らしいのですから。心からそれを願っています。

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